今回ブラックマジックデザイン様よりDeckLink StudioというSD/HD対応の放送局向けキャプチャーカードをお借りする事ができましたので編集機へのセッティング方法とキャプチャー入出力の方法に関しまして検証していきたいと思います。最初にボードを編集機のPCI-Express×1のポートに差し込み付属のCD-ROMより「DeckLink7.1.2」をインストールしました。最新のドライバに関してはWEBサイトからダウンロードしてお使いいただくことができます。
http://www.blackmagic-design.com/jp/support/software/
そして同時にインストールされるアプリケーションのMedia Expressを立ち上げ元々編集機に入っていたHDVのキャプチャー映像を再生してみます。ボードのSD-SDIの出力口とモニターをBNCケーブルで接続して再生ボタンを押すと何の設定作業も無くモニターに映像が映し出されました。カタログを読むとHDVだけでなくProRes(Mac)、DVCPROHD、JPEG、DV、などのフォーマットの再生にも対応しているようです。現在弊社にSDIの出力の出来る機材が無いのでSDIからのキャプチャーに関しては別の機会に行います。CD-ROMにて提供される付属ソフトにはMedia Express以外にも画像合成、テロップ入れ等に使うキーイング用ソフトのMedia key、連番ファイルから映像ファイルを生成したり映像ファイルから連番ファイルを作成したりするアプリケーションのBlackmagic FrameLinkがございます。連番ファイルというのはパラパラ漫画のように画像ファイルに順番に番号を振って順番に連続再生をするという形式のものです。Desk Speed Testツールはシステムのハードディスクの性能を検証するツールで弊社編集機の内蔵ハードディクスのデータを試しに測ってみたところ12BitRGB444のHDTV1080fpsの素材でreadが15、writeが16となりました。これは簡単にいうと12Bit、RGB444の設定でキャプチャーする場合は毎秒16フレームまでしかキャプチャー出来ないという事になります。ブラックマジックデザインの担当者さんに聞いたところDeckLink Studioでのキャプチャーは10BitYUV422までの対応で1080/59.94iの映像を非圧縮で取り込む場合はハードディスクの転送速度に4台構成のRAIDシステムの場合230MB/s程度が必要になるという事です。これはSAS接続等の外部ストレージをご利用頂く事で対応させることが可能です。ちなみに12BitRGB444のHDTV1080fpsのフォーマットを利用する場合はデュアルリンクHD-SDIや3Gb/s SDI等の高速インターフェイスが必要で上位モデルのDeckLink HD Extremeにて対応しております。さて話が脇道にそれてしまったのでキャプチャー検証の作業に戻ります。付属CD-ROMには各種フォーマットのカラーバー画像が入っておりますのでこちらのファイルを読み込んで出力のテストを行いました。コンポジット、コンポーネント、SDIの接続で映像の出力に関しては何も問題ありませんでした。ところが音に関しては弊社にDeckLink Studioと接続できるケーブルがありません。DeckLink Studioと音声ケーブルの接続方法は「フォン端子」(私の認識ではヘッドフォンを繋ぐ時の端子の大きいほう、音響関係のケーブルは未だ勉強不足です)ちなみにヘッドフォンの端子はミニジャックという名前らしいです。そしてこの勉強不足の結果が音声のキャプチャーが出来ないトラブルに発展する事になります。会社にある音声ケーブルはRCAピンの赤白のコネクターです。このケーブルを利用するためにとりあえずRCAからフォン端子に変換するアダプターを購入して使ってみることにします。ところが全く音声のキャプチャーを行うことができません。録音レベルを最大にしても状況は変わりません。仕方ないのでメーカー担当さんに相談してみますと購入してきたアダプターが違っているという事でした。RCAの音声は俗にアンバランスオーディオと呼ばれておりDeckLink Studioのコネクターはバランスオーディオでの対応となっているので単純にアダプターで変換するだけでは使えないという事です。話が難しすぎて私の精神のバランスも崩れそうです。メーカー担当さんの説明によると「RCAの音声はアンバランスオーディオと呼ばれており音声の端子がプラスとマイナスだけで接続されていて電位差によって音を伝えます。バランスオーディオは音声の端子がプラス2極とマイナスで構成されておりプラス同士の電位差で音を伝えるため1チャンネルでもステレオのようなプラグを利用する事になります。アンバランスからバランスに変換できるデッキもしくはミキサーを使って入力してください」という事でした。弊社にはDSR-45というキャノンコネクターの出力を持ったデッキがあるのでキャノンからフォン端子の変換アダプターを購入して対応することにします。しかし私が行ったヨドバシカメラさんにもソフマップさんにも対応するアダプターは売っていません。キャノンから2極のフォンに変換するアダプターは一般的にあるのですが今回必要なのはキャノンから3極のフォン端子に変換するアダプターです。どうやらこのアダプターは特殊なもののようで市場には出回っていないようです。ただこの度弊社にてアダプターを仕入れるルートを確保しましたので購入時にご相談頂ければキャプチャーボードと一緒に販売させて頂く事は可能です。ようやく手に入った変換アダプターとキャノンケーブル、DVCAMデッキDSR-45を順番に接続してキャプチャーを開始したところようやく無事に映像と音声のキャプチャーを行う事ができました。これから購入を検討されているお客様は私の失敗を参考にして機材のセッティングをして頂く事で無駄な試行錯誤を減らせると思います。ブラックマジックデザイン社からはこれ以外にも様々な映像関連機材が販売されております。興味のある方はぜひホームページをご覧になってみてください。
ブラックマジックデザイン株式会社ホームページURL>>
http://www.blackmagic-design.com/jp/PR